堀部 忠男の弁護士ノート

2015.09.30更新

話の内容は、前回の続きです。

 

民法の条文は、多くの場面に共通して使う一般的・抽象的な規定をまとめて前に置き、後ろに個別の具体的な規定を置く、パンデクテン方式と呼ばれる形式で配置されています。民法典の最初にある第一編は総則で、第二編が物権、第三編が債権で、第四編は親族、第五編が相続となっています。第三編の債権の中にも、第一章に総則があり、第二章が契約で、他に第五章まであります。第二章の契約の中には、さらに第一節に総則があり、第二節以降に売買、賃貸借などの契約の規定が第十四節まであります。第二節から第十四節までに規定されている各契約は、典型契約と呼ばれます。有名契約と呼ばれることもあります。主要な契約である売買と賃貸借の節では更に、それぞれ第一款に総則を置いています。法学部や法科大学院での授業は、主として民法の総則に関する講義を民法総論、第三編債権の中の総則に関する講義を債権総論、債権の中の第二章から第五章に関する講義を債権各論として開講されている場合が多いと思います。

 

今回の民法改正(債権法改正)では、第三編の条文の改正が主ですが、第一編の総則の条文の中にも改正されるものがあります。パンデクテン方式は、条文作成の場面では効率が良いですし、体系的にもすっきりしている点はよいのですが、実際の事案に条文を当てはめようとしたときに、使用する条文があちらこちらに散らばる場合が多くなってしまい慣れないとかなり分かりにくいというのが難点です。

投稿者: 弁護士堀部忠男

2015.09.29更新

弁護士堀部忠男が法律問題や判例についてお伝えします。

 

  民法改正法案が先日閉会した通常国会に提出されていましたが、成立には至りませんでした。

  民法改正法案は、長年にわたる法制審議会の審議を経て今年3月に国会に提出されました。19世紀に民法が制定されて以来の抜本的な改正と言われていますが、そもそも民法とは何を定めた法律なのでしょうか。

 

  民法は、私人間の関係を規定した法律です。例えば、売主と買主、貸主や借主、物の所有者や担保権者、親と子というそれぞれの立場の人がどういう権利を持っていたり、どういう義務を負っているかということを定めています。そして、民法は大きく分けて2つの部分に分かれます。

  まず、民法には、相続や結婚等に関して規定した部分があります。その部分は身分法とか家族法と呼ばれています。夫婦別姓にするかどうかというのはそちらに関する部分です。一般の方にはこちらの方がなじみがあるかもしれません。今回の改正はその部分ではなく、もう一方の財産関係に関して定めた部分です。その部分は財産法と呼ばれています。会社で契約などを扱っている方は、この部分についてよくご存知ではないかと思います。その財産法が、さらに2つの部分に分かれます。その一つが物権に関する部分で、もう一方が債権に関する部分です。物権というのは、その物が誰のものかという所有権というのが主なもので、他に住宅ローンを借りたときなどに銀行が不動産を担保にとりますが、そのときの抵当権というものなどの担保物権というものがあります。債権に関する部分は、一般的なのは契約を締結した場合に、契約と締結した人が他の当事者に対してどういう権利を持っていて、またはどういう義務を負っているかを負っているかということを規定します。

  今回の改正は、そのうちの債権に関する部分に関するもので、そのため債権法の改正と呼ばれる場合もあります。

投稿者: 弁護士堀部忠男

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