こんにちは。弁護士の堀部忠男です。
今日の新聞で、政府・与党は今国会での民法改正法案の成立を断念する、と報道されています。これまでも民法改正法案の今国会での成立は絶望的とする報道がなされていましたが、断念することが確定的になったようです。
民法改正法案は、長年にわたる法制審議会の審議を経て今年3月に国会に提出されました。19世紀に民法が制定されて以来の抜本的な改正と言われていますが、そもそも民法とは何を定めた法律なのでしょうか。
民法は、私人間の関係を規定した法律です。例えば、売主と買主、貸主や借主、物の所有者や担保権者、親と子というそれぞれの立場の人がどういう権利を持っていたり、どういう義務を負っているかということを定めています。そして、民法は大きく分けて2つの部分に分かれます。
まず、民法には、相続や結婚等に関して規定した部分があります。その部分は身分法とか家族法と呼ばれています。夫婦別姓にするかどうかというのはそちらに関する部分です。一般の方にはこちらの方がなじみがあるかもしれません。今回の改正はその部分ではなく、もう一方の財産関係に関して定めた部分です。その部分は財産法と呼ばれています。会社で契約などを扱っている方は、この部分についてよくご存知ではないかと思います。その財産法が、さらに2つの部分に分かれます。その一つが物権に関する部分で、もう一方が債権に関する部分です。物権というのは、その物が誰のものかという所有権というのが主なもので、他に住宅ローンを借りたときなどに銀行が不動産を担保にとりますが、そのときの抵当権というものなどの担保物権というものがあります。債権に関する部分は、一般的なのは契約を締結した場合に、契約と締結した人が他の当事者に対してどういう権利を持っていて、またはどういう義務を負っているかを負っているかということを規定します。
今回の改正は、そのうちの債権に関する部分に関するもので、そのため債権法の改正と呼ばれる場合もあります。